私は山梨県に住んでいます。山梨という漢字を見たら、山がいっぱいある所と想像できるでしょう。山梨県の平安町は、地震や津波や台風などという災害が今までほとんどありません。台風19号は日本全国を襲いましたが、ここは山に囲まれているおかげで、わずかな影響しか受けませんでしたが、台風に対する防災準備と対応はベトナムでは経験したことのない貴重なものでした。
台風が来る前の10月11日の午後、私はコンビニでのアルバイトをしていました。ベトナムのホーチミンに住んでいたので、台風の経験はなく、災害に対する危機意識もなく、全く何の準備もしていませんでした。それに対してバイト仲間の日本人は、シフトの間に水やパンなどをたくさん買い込んでいました。店の水が売り切れになったとき、店長が「ハンさんは大丈夫?お水と食べ物は準備しておいた?台風が来たら、停電や断水が起こる可能性があるよ。」と言いました。前回の台風では起こりませんでしたが、隣の県では停電と断水があったそうです。そんなことを言われて急に心配になり、バイトが終わってから水を買って、料理を作っておきました。その日の夕方、雨がだんだんひどくなってきました。私はスーパーに行きませんでしたが、友達はスーパーの水と食べ物は全部売り切れたと言っていました。
次の日は大雨が降り、部屋にいるのに風の音がゴウゴウと聞こえ、風がとても強く吹いているのを感じました。防災訓練の先生の指示どおり、外出しないで窓とカーテンをきちんと閉めました。
実は10日ほど前に、私の大学の留学生30人を集めた防災訓練がありました。避難所にはスリッパがないので、新聞紙のスリッパの作り方を教わったり、避難用バッグに入れるものなどを説明してもらいました。
日本には非常食という食べ物があります。長期保存ができ、調理ができない環境でも食べることができる食品です。私は、お湯や水をいれるだけで食べられる五目ごはんパックをもらいました。スーパーなどどこでも売っています。これは、災害時に役に立つと思いました。
そして、甲府市の防災アプリをダウンロードするように言われました。
このように、たくさんの説明を防災訓練で聞きましたが、実感がなく、そんな準備しなくてもきっと大丈夫と思っていました。
部屋に飲み物と食べ物もたくさん準備しておいたので、安心して部屋で宿題をしていました。雨風がますます強くなりました。突然、携帯の警報アラームがなり、驚きました。そして、このお知らせが届きました。
このお知らせはiPhoneからです。私の地域は山なので水害の心配はありませんが、大雨のために土砂災害が起こる可能性が高いので、避難注意報が出ていました。お知らせを読んだら、とても心配になり、防災訓練で学んだとおりに、避難用のカバンを準備しました。カバンの中には飲み物や食べ物、パスポートやスマホなどの必要なものを入れておきました。数分後、また携帯のアラームが鳴り、隣の上九一色地区に緊急避難警報がでました。幸いなことに、私の住んでいる地区には避難警報がでませんでした。雨と風は真夜中まで続き、不安な夜を過ごしました。
台風19号が去り、山梨県の被害はほとんどありませんでしたが、インターネットで見ると、千葉や、東京などの地域では、本当に大変な被害が出ていました。初めての日本で台風を体験し、日本人の防災と対応方法に本当に感動し、色々な防災知識を学ぶことができました。予測して、予防対策をきちんとすることは、災害だけでなく、日本人の仕事のやり方に通じるものがあると感じました。
日本で働くということは、日本の最新技術を学ぶだけでなく、日本人の働き方を学ぶ機会にもなります。日本の仕事が高品質なのは、このような、先を予測してそれに対する対応策をしっかり考えていることだと思いました。